ニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ/20.832km)の最速ラップタイムを、カテゴリー別の一覧表で整理しました。市販車・EV・SUV・FF・4ドアセダン・プロトタイプ・チューンドの各王者と、2026年に更新された記録をまとめています。数値はすべて2026年6月時点の集計です。
結論から先に言うと、カテゴリー無差別の歴代最速はPorsche 919 Hybrid Evoの5:19.55、公道走行可能な市販車の最速はFord Mustang GTD Competitionの6:40.835、EVはTaycan Turbo GT(Manthey Kit)、FFはVW Golf GTI Edition 50の7:39.7、SUVはPorsche Cayenne Turbo GTの7:36.698です。
ニュルブルクリンク最速ランキング|カテゴリー別 早見表
まず全体像です。カテゴリーごとに「いま誰が一番速いのか」を1枚にまとめました。
| カテゴリー | 現王者 | タイム | 備考 |
|---|---|---|---|
| 総合(無差別) | Porsche 919 Hybrid Evo | 5:19.55 | 2018年/LMP1ベースの実験車 |
| プロトタイプEV | Volkswagen ID.R | 6:05.336 | 2019年/量産対象外 |
| レース専用車 | Ford GT Mk IV | 6:15.977 | 2026年/歴代3位 |
| 量産(Track扱い) | Mercedes-AMG ONE | 6:29.09 / 6:30.7 | Track Packは6:30.7 |
| 市販車(公道走行可) | Ford Mustang GTD Competition | 6:40.835 | 2026年に首位へ |
| チューンド(メーカー認定) | Porsche 911 GT2 RS Manthey Performance Kit | 6:43.300 | 991.2ベース |
| EV | Porsche Taycan Turbo GT(Manthey Kit) | 2026年5月7日に新記録 | 量産EVはRimac Nevera 7:00.9 |
| 4ドアセダン | Porsche Taycan Turbo GT(量産仕様) | 7:13.9 | セダン最速 |
| SUV | Porsche Cayenne Turbo GT | 7:36.698 | 2024年記録 |
| FF | VW Golf GTI Edition 50 | 7:39.7 | 2026年にシビックから奪還 |
ランキングを見る前に|タイムを比較するための4つの前提
ニュルのタイムは、同じ「◯分◯秒」でも前提条件が違えば比較の意味を失います。順位表を読む前に、どの区分の記録なのかを判別できるようにしておきましょう。
| 区分 | どんな車が対象か | ランキング上の扱い |
|---|---|---|
| 市販車(Production/Street-Legal) | ナンバーを取得して公道を走れる量産車 | いわゆる「市販車最速」はここを指す |
| 量産(Track扱い) | 量産車だがサーキット向けパッケージを装着した仕様 | 市販車とは別枠で扱われることが多い |
| チューンド(メーカー認定キット) | Manthey Kit/Performance Kitなど純正扱いの強化キット装着車 | ノーマルの市販車記録とは分けて見る必要がある |
| プロトタイプ/レース専用車 | 公道走行を前提としない車両 | 総合最速だが市販車比較には使えない |
| EV | 電動の量産車 | 冷却や電費の制約があり内燃機関車と条件が異なる |
| 注意点 | なぜ問題になるか | どう読むべきか |
|---|---|---|
| 計測区間が変わっている | 2019年以降、計測の基準区間に変更がある | 年代をまたぐ比較は「同じ物差しか」を確認する |
| 公式計測か第三者計測か | 計測主体によって条件管理の厳密さが異なる | 公式発表のあるものを基準にする |
| タイヤと路面・気温 | コンディションで所要時間は変動する | 1秒未満の差は誤差の範囲として見る |
| ノーマルかキット装着か | 認定キットでも中身は大きく変わる | キット付きは同一カテゴリーで比べない |
| 「市販車」の定義 | 台数限定・受注生産の扱いが媒体ごとに違う | どの区分の記録として発表されたかを見る |
この4点を踏まえたうえで、以下のカテゴリー別ランキングをご覧ください。順位そのものより「どの区分での順位か」に注目すると、実際の速さの序列が正しく見えてきます。
市販車(Production/Street-Legal)ランキング
「ナンバー付きで公道を走れること」を条件にしたカテゴリーです。2026年にFord Mustang GTD Competitionがトップへ躍り出て、Manthey Kit装着の911系がそれを追う構図になっています。
| 順位 | 車種 | タイム | 年 |
|---|---|---|---|
| 1 | Mercedes-AMG ONE | 6:29.09 | 量産扱い/カテゴリ分類により上位 |
| 2 | Mercedes-AMG ONE Track Pack | 6:30.7 | Maro Engel/量産Track記録 |
| 3 | Ford Mustang GTD Competition | 6:40.835 | 2026年 |
| 4 | Porsche 911 GT2 RS Manthey Performance Kit(991.2) | 6:43.300 | — |
| 5 | Porsche 911 GT3 RS Manthey Kit | 6:45.389 | 2026年4月17日 公式 |
「市販量産車で最も速いのは何か」という問いは、レギュレーションの解釈で答えが変わります。公道走行可能な量産車という条件を厳しく取ればMustang GTD CompetitionとManthey付き911が上位に来ますが、AMG ONEを量産扱いに含めると順位は入れ替わります。
EV最速ランキング
EVカテゴリーは2026年5月7日に塗り替えられました。Porsche Taycan Turbo GT(Manthey Kit装着)が従来のEV記録を更新し、EV市販車枠でPorscheが先頭を維持しています。
| 車種 | タイム | 区分 |
|---|---|---|
| Volkswagen ID.R | 6:05.336 | 実験車・量産外 |
| Porsche Taycan Turbo GT(Manthey Kit) | 2026年5月7日に新記録樹立 | チューンド |
| Rimac Nevera | 7:00.9 | 量産EV |
| Porsche Taycan Turbo GT(量産仕様) | 7:13.9 | 量産EV/4ドア最速も兼任 |
EVは熱マネジメントとバッテリー消費が課題でしたが、TaycanのMantheyキットは空力・冷却・ソフトウェア最適化を強化し、量産ベースのEVでも内燃機関スポーツに迫る領域へ到達しています。
SUV最速ランキング
SUVカテゴリーは長らくPorsche Cayenne Turbo GTが支配しています。2024年に7:36.698を記録し、挑戦者を退けてきました。
| 車種 | タイム | 備考 |
|---|---|---|
| Porsche Cayenne Turbo GT | 7:36.698 | 量産SUV最速(2024年) |
| Lamborghini Urus | 7:50秒台 | 挑戦者 |
| Aston Martin DBX707 | 7:50秒台 | 挑戦者 |
| Alfa Romeo Stelvio Quadrifoglio | 7:51秒台 | 過去にSUV記録を保持 |
2026年は新型Cayenne EVやMacan EV、高性能SUV勢の挑戦が控えており、SUV枠の塗り替えも視野に入っています。
FF最速ランキング
FF(前輪駆動)最速の称号は長くホンダ シビック・タイプRが保持してきましたが、2026年にVWがGTI誕生50周年記念モデルで奪還しました。
| 車種 | タイム | 年 |
|---|---|---|
| VW Golf GTI Edition 50 | 7:39.7 | 2026年/FF量産記録 |
| Honda Civic Type R(FL5) | 7:44.881 | 前FF王者 |
4ドアセダン最速
4ドアセダン枠はPorsche Taycan系の独走が続いています。量産仕様のTaycan Turbo GTが7:13.9で、EV量産枠とセダン枠の二冠状態です。
プロトタイプ・量産対象外のトップタイム
| 車種 | タイム | 年・区分 |
|---|---|---|
| Porsche 919 Hybrid Evo | 5:19.55 | 2018年/プロト・実験車(歴代最速) |
| Volkswagen ID.R | 6:05.336 | 2019年/EVプロト |
| Ford GT Mk IV | 6:15.977 | 2026年/レース専用車・歴代3位 |
| Mercedes-AMG ONE | 6:29.09 / 6:30.7 | 量産扱い/Track Pack |
カテゴリーを問わない歴代最速はPorsche 919 Hybrid Evoの5分19秒55です。ル・マン用LMP1マシンを改造した実験車によるもので、量産車とは別格の領域として現在も塗り替えられていません。
チューンド(Manthey Kit/Performance Kit系)
近年存在感を増しているのが、メーカー認定のチューニングパッケージです。Porscheの「Manthey Kit」「Manthey Performance Kit」が代表例で、純正+メーカー保証の範囲内で空力・足回り・タイヤを強化し、ニュルでのタイムを大幅に短縮します。
| 車種 | タイム | 年 |
|---|---|---|
| Porsche 911 GT2 RS Manthey Performance Kit(991.2) | 6:43.300 | — |
| Porsche 911 GT3 RS Manthey Kit | 6:45.389 | 2026年4月 |
| Porsche Taycan Turbo GT Manthey Kit | 2026年5月 EV新記録 | 2026年 |
同じ車名でも「純正のまま乗る車のタイム」と「Mantheyキットを装着して引き出した極限タイム」は別カテゴリーとして読むと、ランキングの意味が整理しやすくなります。
国産勢の現状|シビックタイプR・GT-R・NSX・レクサスLFA
| 車種 | タイム | 状況 |
|---|---|---|
| Nissan GT-R NISMO | 7:08.679 | 市販4WDスーパースポーツの上位 |
| Lexus LFA/ニュルブルクリンクパッケージ | 7:14秒台 | 歴史的記録 |
| Honda NSX Type S | 7:30秒台 | 2WD/HV系の挑戦者 |
| Honda Civic Type R(FL5) | 7:44.881 | FF最速の座はGolf GTI Edition 50へ |
国産勢はGT-RがNISMO系で根強い存在感を示し、シビック・タイプRもFF王座を譲ったとはいえ依然として上位常連です。ホンダ・日産がEV/HV時代にどう挑戦してくるかが2026年以降の注目点になります。
2026年の新記録ラッシュ|時系列でおさらい
| 日付 | 出来事 | タイム |
|---|---|---|
| 2026年4月2日 | Ford GT Mk IVが歴代3位・American OEM最速を記録 | 6:15.977 |
| 2026年4月17日 | Porsche 911 GT3 RS Manthey Kitが公式タイムを記録 | 6:45.389 |
| 2026年5月7日 | Porsche Taycan Turbo GT(Manthey Kit)がEV記録を更新 | 新記録 |
| 2026年 | Ford Mustang GTD Competitionが市販車トップタイム | 6:40.835 |
| 2026年 | VW Golf GTI Edition 50がFF王座を奪還 | 7:39.7 |
| 継続中 | Mercedes-AMG ONEが量産(Track)現行記録を保持 | 6:30.7 |
「市販車」「EV」「FF」という3つの大きな指標が同じ年に塗り替わるのは極めて稀で、2026年はニュル史における節目の年と言えます。
ラップタイムの見方|2019年以降の計測区間の変更
ラップタイム比較で使われるのは原則として北コース(ノルドシュライフェ)です。2019年以降は20.832km(スタート/フィニッシュの長い区間を含む)の数値が公式扱いとなっています。
- 20.832km:2019年以降の公式フル計測区間
- 20.6km:それ以前の主要計測区間(参考扱い)
- Track/Production/Street-Legal/Tuned/Prototypeなどのカテゴリー分類によって記録の意味が変わる
古い記録(20.6km)と新しい記録(20.832km)は単純比較できないため、表記の世代差に注意してください。
よくある質問(FAQ)
Q. ニュルブルクリンクの歴代最速タイムは?
A. カテゴリー無差別ではPorsche 919 Hybrid Evoの5:19.55です。ル・マンLMP1ベースの実験車による記録で、量産車とは別枠として扱われます。
Q. 市販車で一番速い車は?
A. 公道走行可能な市販車という条件ではFord Mustang GTD Competitionの6:40.835が最速です。ただしMercedes-AMG ONEを量産扱いに含める集計では6:29.09/6:30.7が上位に来ます。
Q. EVで最速なのは?
A. 2026年5月7日にPorsche Taycan Turbo GT(Manthey Kit)がEV記録を更新しました。量産EVではRimac Neveraの7:00.9、Taycan Turbo GT量産仕様の7:13.9が上位です。
Q. FF最速はシビックタイプRではないのですか?
A. 2026年にVW Golf GTI Edition 50が7:39.7を記録し、シビック・タイプR(FL5)の7:44.881を上回ってFF王座を奪還しました。
Q. 国産車で最も速いのは?
A. 日産GT-R NISMOの7:08.679が国産勢の上位タイムです。レクサスLFAが7:14秒台、ホンダNSX Type Sが7:30秒台で続きます。
まとめ
2026年のニュルブルクリンクは、Mustang GTD Competitionによる市販車記録、Taycan Manthey KitによるEV記録、Golf GTI Edition 50によるFF記録と、主要3カテゴリーが同時に更新された節目の年になりました。総合最速の919 Hybrid Evo(5:19.55)は依然として不動で、量産車との差の大きさも改めて浮き彫りになっています。

