結論:実用性を求める人には不向き。目的がはっきりしていれば満足度は高い
結論から言うと、ホンダS660は「買ってはいけない車」ではありません。ただし、実用性を求める人には向いていません。乗車定員は2名で、荷物はほとんど積めず、乗り降りにも慣れが必要です。
また、S660は2022年3月に生産を終了しているため、2026年11月時点では中古車しか選べません。最も新しい個体でも生産から4年以上がたっており、状態の見極めが大切になります。
「運転そのものを楽しみたい」「普段使いの車は別にある」という人なら、軽自動車の維持費で本格的なミッドシップスポーツを楽しめる貴重な1台です。この記事では、後悔しやすいポイントと、中古車を選ぶときの注意点を整理します。
S660の基本情報
S660は、ホンダが2015年4月に発売した2人乗りの軽オープンスポーツカーです。エンジンを座席の後ろに置いて後輪を駆動するミッドシップ(MR)を採用しています。
2021年3月12日、ホンダはS660の生産を2022年3月で終えると発表し、最後の特別仕様車「Modulo X Version Z」(315万400円、6速MTのみ)を発売しました。その後、生産予定台数に達したため受注を終了しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売期間 | 2015年4月〜2022年3月(生産終了) |
| エンジン | 660cc 直列3気筒ターボ、64PS・104N・m |
| トランスミッション | 6速MT/CVT |
| WLTCモード燃費(2020年1月以降のβ) | 6MT 20.6km/L/CVT 20.0km/L |
| 乗車定員 | 2名 |
| 最終モデルの新車価格(税込) | β 203万1700円、α 232万1000円、Modulo X 304万2600円 |
S660で後悔しやすい5つのポイント
1. 荷物がほとんど積めない
S660には一般的なトランクがありません。フロントフードの中にふた付きのボックスがありますが、主に取り外した屋根を収納する場所です。屋根をしまうと、荷物を置く場所はほぼ残りません。
車内の収納も、助手席の足元や横のすき間、ドアポケットなどに限られます。2人で旅行に行く場合、荷物は最小限にする必要があります。
2. 2人乗りで、乗り降りもしにくい
乗車定員は2名で、全高は1180mmです。腰を落として乗り込む姿勢になるため、乗り降りには慣れが必要です。家族の送迎や、3人以上での移動には使えません。
3. 乗り心地は快適さ重視ではない
S660はスポーツカーとして、ハンドリングを重視したセッティングです。前165/55R15、後195/45R16という扁平率の低いタイヤを履いています。一般的な軽自動車と比べると、路面の凹凸を感じやすいと考えておきましょう。購入前に試乗できる場合は、普段走る道に近い条件で確かめるのが確実です。
4. 中古車しかなく、年数がたっている
生産終了から4年以上がたち、初期の2015年式は10年以上前の車になります。ゴム部品や幌(ほろ)、消耗品は、年数とともに劣化します。購入時の価格だけでなく、購入後の整備費用も考えておく必要があります。
5. 6速MTには誤発進抑制機能がない
ホンダの過去モデル情報によると、2020年1月以降のモデルでも、6速MT車には誤発進抑制機能が付いていません。安全装備を重視する人は、グレードやトランスミッションごとの装備をよく確認しましょう。
それでもS660が選ばれる理由
後悔しやすい点がある一方で、S660には代わりのきかない魅力があります。
1つ目は、軽自動車のミッドシップスポーツという希少性です。2026年11月時点で、新車で買える軽自動車のミッドシップスポーツカーはありません。
2つ目は、維持費の抑えやすさです。軽自動車税(種別割)は年額1万800円(2015年4月以降に新車登録された乗用車の場合)で、使用燃料はレギュラーガソリンです。WLTCモード燃費も20km/L前後あります。
3つ目は、6速MTとCVTの両方があったことです。MTで運転を楽しみたい人も、パドルシフト付きのCVTで気軽に乗りたい人も選べます。
2026年の中古車の状況
中古車情報サイトのカーセンサーでは、2026年11月1日の閲覧時点で、S660が505台掲載されていました。価格は約95万〜430万円と幅があり、掲載の約6割が155万〜255万円の価格帯に集まっています。
| 価格帯 | 掲載台数の傾向 |
|---|---|
| 155万円未満 | 36台 |
| 155万〜255万円未満 | 314台(全体の約6割) |
| 255万〜355万円未満 | 121台 |
| 355万円以上 | 34台 |
年式別では、2015〜2016年式が258台と半数を占めます。高価格帯には、Modulo Xなどの特別な仕様や、走行距離の少ない後期の個体が含まれていると考えられます。相場は日々変わるため、購入を考えるときは最新の掲載情報を確認してください。
中古車選びで確認したいポイント
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 整備記録簿 | 定期的に点検・整備されてきたかを確かめる |
| 修復歴 | 低い車体で事故の影響を受けやすい部分がないか確認する |
| 改造の有無 | 車高や吸排気の変更は、乗り心地や車検に影響することがある |
| 幌(ルーフ)とシール類 | 雨漏りや劣化がないかを確認する |
| タイヤ・ブレーキ | 交換時期が近いと購入後すぐに費用がかかる |
| クラッチ(6MT) | 滑りや異音がないかを確認する |
可能であれば、ホンダの販売店が扱う認定中古車や、保証の付いた中古車を選ぶと安心です。リコールの対象になっていないか、対策が済んでいるかも、ホンダ公式サイトのリコール情報検索で確認しておきましょう。
S660の代わりになる車
新車で買えるオープンカーやスポーツカーも比べておきましょう。
| 車種 | 状況(2026年11月時点) | ポイント |
|---|---|---|
| ダイハツ コペン(現行型) | 2026年8月で生産終了と発表済み | 軽オープンカー。今後は中古車が中心 |
| マツダ ロードスター | 販売中。S(ソフトトップ)は295万9000円 | 1.5Lの2人乗りFRオープンカー |
| トヨタ GR86 | 販売中。293万6000円から | 2.4Lの4人乗りFRクーペ |
軽自動車のオープンカーにこだわるなら、コペンも候補ですが、ダイハツは現行型の生産を2026年8月で終えると発表しています。新車にこだわるなら、ロードスターやGR86が現実的な選択肢です。ただし、どちらも登録車のため、税金などの維持費はS660より高くなります。
よくある質問(FAQ)
Q. S660は本当に買ってはいけない車ですか?
A. いいえ。実用性を求める人には向きませんが、2人乗りのスポーツカーと理解して選べば満足度の高い車です。
Q. S660の中古車はいくらくらいですか?
A. カーセンサーでは、2026年11月1日の閲覧時点で約95万〜430万円の幅があり、約6割が155万〜255万円の価格帯でした。
Q. S660はいつ生産終了しましたか?
A. 2022年3月です。ホンダは2021年3月に生産終了を発表し、生産予定台数に達した時点で受注を終えています。
Q. MTとCVTはどちらを選ぶべきですか?
A. 運転操作を楽しみたいならMT、渋滞の多い道で気軽に乗りたいならCVTが向いています。なお、6速MT車には誤発進抑制機能が付いていません。
Q. S660の後継車は出ますか?
A. 2026年11月時点で、ホンダからS660の後継車についての公式発表は確認できません。
まとめ
- S660は「買ってはいけない車」ではありませんが、荷物が積めない2人乗りのスポーツカーです。
- 2022年3月に生産を終了しており、2026年11月時点では中古車のみです。
- カーセンサーでは約6割が155万〜255万円の価格帯でした(2026年11月1日閲覧)。
- 中古車は整備記録、修復歴、改造の有無、幌の状態を必ず確認しましょう。
- 新車にこだわるなら、ロードスターやGR86も比べてみましょう。
あわせて読みたい
参考情報
- Honda 過去モデル情報:S660(2020年1月発表 2022年3月終了モデル)
- Car Watch:S660の生産終了とModulo X Version Zの発売(2021年3月12日)
- ガリバー:S660 β(2020年1月〜)のスペック
- カーセンサー:S660の中古車相場
- Car Watch:ダイハツ、コペン現行型の生産を2026年8月で終了(2025年9月29日)
- くるまのニュース:マツダ ロードスター改良モデル(2026年7月10日)
※価格は消費税込みのメーカー希望小売価格です。最新の情報はメーカー公式サイトまたは販売店でご確認ください。(2026年11月時点の情報)

