「BYDってどこの国の車?」「中国製って本当に信頼できるの?」そんな検索が急増しているのは、今、日本の道路をBYDの電気自動車が静かに走り始めているからです。けれど、その正体はまだ多くの人に知られていません。
この記事では、単なる国籍の説明にとどまらず、筆者自身の実体験も交えながら、BYDという企業の背景、グローバルでの存在感、日本市場への本気度、そして“あのトヨタ”がなぜ手を組んだのかまで、深掘りしてお伝えします。
画像引用元 : BYD公式サイト
BYDは「中国の車」ではなく「中国から始まった世界企業」
確かに、BYD(比亜迪)は中国・深圳に本社を置く中国企業です。1995年に電池メーカーとしてスタートし、2003年に自動車事業に参入。
しかし今日のBYDを“ただの中国メーカー”と見るのは、やや短絡的だと感じます。実際に調べてみると、BYDは以下のような国際展開をすでに実現しています:
- ヨーロッパ:ドイツ、ノルウェー、英国などでEVを展開
- 東南アジア:タイでは2023年の新車販売台数1位に
- 南米:ブラジル・コロンビアでEVバスの導入が進行中
- 日本:2023年に本格参入。BYD ATTO 3、DOLPHIN、SEALを順次投入
つまり、BYDは中国で生まれたとはいえ、“世界水準で戦っている企業”と言えると実感しました。
なぜ日本人は「どこの国の車?」と疑うのか?
これは「中国=安かろう悪かろう」という、かつての固定観念の表れだと思います。筆者自身も正直なところ、最初は不安を感じていました。
でも、以下の情報を知ってから、その印象は大きく変わりました。
- 電池、モーター、制御系すべて自社開発(垂直統合)
- ブレードバッテリーによる高い安全性(熱暴走しにくい)
- 欧州のNCAP衝突テストで最高評価
- トヨタやメルセデス・ベンツとの技術協力
さらに、日本国内にディーラー網を整備しつつ、アフターサービスや長期保証制度も構築している。これは、単なる海外メーカーではできない丁寧さだと感じます。
EV覇権争いの主役に躍り出たBYDの世界戦略
EV業界の覇者といえば、これまでは「テスラ」でした。でも2023年、一部四半期でBYDがテスラを上回る販売台数を記録。
“テスラ超えのBYD” という見出しが欧米のメディアでも話題に。
これを知ったとき、「え、BYDってそこまで大きいの?」と驚いたのを覚えています。
原因①:自前主義
BYDは他社に頼らず、電池・パワートレイン・制御系すべてを自社で開発・製造しています。
→開発スピードも速く、コストも下げられる。これは確かに強い。
原因②:中国政府の戦略的支援
NEV(新エネルギー車)推進政策による補助金など、国家レベルのバックアップも大きな後押しに。
→正直、日本にもこれくらいの大胆さがあってもいいなと思いました。
原因③:グローバル展開の速さ
BYDは東南アジア、欧州、日本を同時に開拓しており、出遅れ感がない。
→“待ってるうちに売れる”という戦略ではなく、“攻める”姿勢が印象的です。
日本でのBYDの評価と課題
筆者は実際に「ATTO 3」に試乗してみました。第一印象は、「あれ?内装めちゃくちゃ洗練されてる…!」という驚きでした。
- 加速はスムーズで音も静か
- 中央に回転式の大型ディスプレイあり(これが便利)
- シートの座り心地が国産EV以上かも?と感じたほど
ただし課題も。
- 「BYDって何?」という知名度の低さ
- デザインがやや“攻めてる”ので好みが分かれそう
- 一部ナビや日本語UIがまだ最適化されていない印象
とはいえ、これらは時間とともに解決していくはずです。
なぜトヨタはBYDと手を組んだのか?
2020年にトヨタがBYDと合弁会社を設立したと聞いたとき、正直「えっ、トヨタが?」と意外でした。
でも調べてみると納得です。
- BYDの電池技術を高く評価
- 中国市場でのEV展開を加速したい狙い
- スピーディな開発力とコスト力を取り込むため
つまり、トヨタですら「BYDの技術は使える」と判断しているということ。
これが、BYDが単なる“格安EVメーカー”ではないことの証明だと感じました。
結論:BYDは「どこの国?」より「どう向き合うか」を考えるべき企業
BYDは中国発祥ですが、すでにそのスケールや実績は“世界レベル”。
「どこの国?」という疑問から始まったとしても、最終的には、
- 安心して乗れるか?
- 生活の足として頼れるか?
- 未来志向の選択肢となるか?
そうした視点で評価されるべきクルマだと思います。
筆者自身、乗ってみてイメージが180度変わりました。今後EVを選ぶ際、BYDは“候補に入れない理由がない”メーカーになると感じています。
BYDは、「中国の車」というより、「未来のEVを引っ張る存在」です。