お客様が当店ホームページを見て下さり、症状から判断して修理実施例に出ているようなバルブボディの不具合だと思われるので交換をお願いしたいと、依頼されました。

さた、お車が届いて症状の確認を行なってみますと、油温の低い始動時から4速が入りません。エンジンの回転ばかり上がってギアが入らないのです。スピードをあげていても5速は表示するもののやはりギアが繋がっていない感じです。

そしてそのままエンジンを回していると、、、、ゴンっっと音がして、3速固定のエマージェンシーモードに突入です。こうなるとリバースやドライブに入れた時にもガツンっってひどいショックが車体に響き渡ります。

実はこのお車、マニュアルモードに切り替わらないのです。どうもスイッチが壊れているよう。

エンジンチェックランプが点灯し、ギアポジションの表示がエマージェンシーモードになりますので、まずは故障診断機を当ててみます。

すると、ティプトロニックの異常とソレノイドN88がオープンかショートしてるとか診断されました。

ティプトロニックとは、次の写真のシフトレバーの切り替え部分のことで、どうやらこれのマニュアルモードに切り替わる時のスイッチが壊れているようです。覗きこむと下の方に何か部品が落ちています。しかもこの部品、アッシーで11万円!!交換作業もセンターコンソールを全部取っ払い、車体下のセンターマフラーを外して、断熱板を外して、ようやく取り外すことが出来るのです。考えただけで面倒くさい。普通に見積もると、えらい高い工賃になりそうです。

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とりあえずは、3速以上をマニュアル操作でギアを入れてみないことには、何速で不具合が生じているか確認しようがないので、中古のティプトロニックを2万円ほどで手に入れ、交換しました。工賃も今回は特別に超格安で行いました。

もう一つのエラーのN88ソレノイドは、3速固定モードになると表示されるようです。エラー解除すると表示されないので、ソレノイド自体の不具合はないと推測されます。

さてこれでやっとマニュアルモードで走行できます。

3速から4速、、、、全く入りません。5速、、、だめです。

冷間時から完全に滑っていて、4~6速がすべて入らないとなると、ソレノイドの不具合(バルブボディの不具合)は考えにくいです。ソレノイドとクラッチの組み合わせ表を見ると、4~6速はK2クラッチが繋がりっぱなしです。それ以外は切断されてます。ということは、このクラッチがあやしい、、、。繋がらず、滑っているのでは、、、。

P1070801ATFは最初に一度新しく入れ替えてましたが、すでに真っ黒。オイルパンをはがすと、鉄粉が異常に多い。

試しに新しいバルブボディを付けてみましたが、全く症状が変わらず、良くなりませんでした。

これでクラッチの不具合ということが断定できました。

さて次は予算の関係で、中古のミッションを探すわけですが、トゥーランはこのようにATの不具合が多いので、中古ミッションがなかなか手に入りません。

どうにも見つからないので、いつもバルブボディの取引をさせていただいている業者さんに聞いてみたところ、一基あるということで、しかも大変安くお譲り下さいました。もちろんリビルトされたバルブボディ付きで。

ミッションが届き、載せ替えたところ、完全に治りました。ホット一息です。

後日、不具合のあったミッションを分解してみますと、K2クラッチのフリクションプレートの摩擦材は完全に失くなってスチールまで削れるほど、ぼろぼろに摩耗していました。これでは鉄と鉄の間にオイルを敷いた状態ですから、滑って当たり前ですね。

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トゥーランのオートマ変速ショックは、バルブボディの不具合から生じるのがほぼ100%ですが、その不具合が発生してからそのまま走行を続けていると、3速から4速の変速時にエンジン回転が上昇し、滑るような症状が発生します。

おそらく、その症状のまま乗り続けていた結果が、このK2クラッチの摩耗につながったのではないかと思われます。

トゥーランやニュービートルカブリオレ、ゴルフ5、ゴルフプラス、アウディA3にお乗りの方、変速ショックやスベリを感じ始めましたら、早めに修理されることをお勧め致します。